俺がよく覚えてるのは、なんば味園地下発光ギャザリングFLOWER OF LIFEでみた彼女のサウンドから発する青白い光。それはただ、巷で言われてる安易なオーガニックとか癒しとかではなく我々パーティピープルの儚い希望や夢が、もしかしたら具象化するんじゃないかという奇跡。女性としての凛々しさ、女性しか出せない力強いグルーヴ、そして屈託のない人柄と△スマイルは古今東西の狂った音好き、カリスマヤンキーたちを次々と平伏させてきた。もちろん現在も全国を飛び回る人気DJの一人である。
今作『CYCLE』で聴こえてくるのは、いつもの△のステップながら、国内唯一無二の発狂インディペンデントレーベル、BLACK SMORKER RECORDS仕様の、▲である。ゆったりとしたブレイク・ビーツから始まり心地よい風を浴びながら歩き出す。徐々に▲を上るうちにヘンテコな民族が棲む村の奇祭を通過しながら、新旧のベースミュージックでフリーフォームなグルーヴを紡ぎ、テクノ/ディープハウスを経る。頂▲上へあがるころにはジャンルなど吹っ飛んでいる。仕掛けは多くあるが、今回BLACK SMORKER RECORDSより同時発売のフィメールコンピレーション『LANINA』より福岡の女傑、SHIHO THE PURPLEHAZEのトラックも忍ばされている。他にも使われるトラックは新旧織り交ざり、「DJ」しか具象できないCYCLE/サイクルを体現しつつ、そして宇宙と地球と生命の無限のCYCLE/サイクルを意識しつつ、未来へ向かって上昇したいという彼女の祈りのようなサウンドスケープなのだ。(Shhhhh)
(13apr02)
い や ぁ ~ 股 股 、A L T Z の 兄 貴 が や っ て く れ ま し た ! ! A L T Z M U S I C A か ら 彗 星 の ご と く 現 れ た ビ ー ト メ ー カーIGAXX。甘く切ないソウルマナーにむせび泣き、あたいは郷愁の果てにハートも盗まれますたぁ。
̶INSIDEMAN a.k.a. Q (GRASSROOTS)
BLACK SMOKER RECORDSが贈るMIX CDシリーズの新作は世界屈指のタブラの使い手U-Zhaanとのユニット"OIGORU"で傑作アルバム"BorshaKaal Breaks"をリリースした"音"の手練れ、L?K?Oによる珠玉の官能MIX。今までのシリーズとはガラリと毛色が変わり、しっとりとした歌ものを中心に構成された本作はあらゆる音楽を聴き続けているL?K?Oだからこそわかる、音楽の心地良い"快楽"がこれでもか!と詰め込まれた、まさにイける作品。濃厚でトロットロな蜂蜜の中で音楽とまぐ合うような感覚・・・まるで極楽にいるような快楽・・・1枚聴き終わった頃には、甘く、優しく、切ない気持でいっぱいになるはず。選曲はもちろん、オリエンタルな香りを感じさせる小ワザを効かせた、マッシュアップっぷりもさすがの一言。垣根を飛び越え、あらゆるおもしろい音楽の現場を飛び歩くL?K?Oの真髄がここに。中毒に要注意!(12Dec02)
伊東篤宏の活動はこれまで、どちらかというとアーティー且つノイズ・アヴァンギャルド的な見られ方(観られ方)、聴き方をされてきた様に思う。それは彼自身がそもそも現代美術の領域から、自作音具OPTRONを使った音のアプローチを開始した事や、即興音楽家との共演が多い事からも決して間違ったイメージとは言えない。しかしこのアルバムは多くのそういった固定されたイメージを払拭し、新たな聞き手を獲得するであろう。そう、このアルバムが「 BLACK SMOKER RECORDS 」からのリリースである事は必然である。ここから今日のダンスミュージックの影響、そして世界各国の所謂「民族音楽」や「辺境ポップス」的サウンドを聴きとる事は容易い。付け加えれば、ここには前世紀末に日本が世界に発信して来た「ジャパニーズ・ノイズ」的なアプローチや、理屈っぽいアーティーなコンセプトなどは存在しない。ここで鳴っている音楽は、今日の東京(そう、微妙に放射能濃度の高い!)の確実に変わっていかざるを得ない日常を生きる、タフな新・東京土人の為の電子音楽なのである。(シールド包装のため試聴ファイルは付いていません。ご了承ください。)
「身動き出来ないくらいに脳をかき乱され、踊ろうと思っても脳から手足に上手く伝達が出来なくなって」「ダンスフロアで、まるで砂漠のサボテンのようになってしまっているクラウド……いったい何が起こっているんだ?」――これは、高橋透がある日の<パラダイス・ガラージ>におけるラリー・レヴァンのプレイについて書いた文章である。ちなみに、ここでいうサボテンは、その夜、彼が摂取していたメスカリンにかかっており、つまり、この一見、地獄のような光景は快楽の彼岸ですらあって、実際、高橋はそれを追い求めて同会場に通い詰め、もう1回だけ体験することが出来たものの、「以後<パラダイス・ガラージ>がクローズするまで、二度と“狂気の日”が訪れることはなかった」。――しかし、20数年後、我々は再びサボテンと化す。“Shhhhh!”と、Shut Up and DanceならぬShut Up and Fucked Upを命じる狂気のコンダクターの指揮によって。あるいは、ラリー・レヴァンがありとあらゆる音楽からグルーヴを抽出していたとしたら、DJ Shhhhhことリュウイチ・カネコはありとあらゆる音楽からサイケデリアを抽出する。ワールド・ミュージック、フリー・ジャズ、ミニマル、アンビエント……これは、砂漠のような世界に散らばった、音楽から抽出した幻覚剤だ。そう、このCDは幻覚剤のBGMではなく、このCDそのものが幻覚剤なのだ。そして、サボテンにされたあなたの身体に流れる血液もまた、幻覚剤と化す。(磯部 涼)(シールド包装のため試聴ファイルは付いていません。ご了承ください。)<1110-3-GNT>