現在は京都を拠点とする企画編集グループ「ホホホ座」の一員として活動する松本伸哉と、下北ナイトクラブを母体としたクラブZOO及びSLITSにて企画兼代表を務めていた山下直樹によるユニットTHE FORTUNES IN FURY。UKのサウンドシステム・カルチャーの中で、ポストパンクやニューウェイブ、クラウトロック、ディスコ、レゲエ、ファンク、インダストリアルなどが混然一体となって鳴らされていた時期の空気感を感じられる選曲と、さらには二人の手によってカット&ペースト、エディット、コラージュといった手法を取り入れた革新的MIXCDが、ロボ宙/Last Momentsの最新7インチシングル「TODAY」やガレージロック・バンドThe EViL HooDooのライブ盤リリースを手掛けてきたserach of MANYより改訂版としてリリースとなりました。DJミックスにおけるエディット感覚を拡張させることに成功した傑作です。再リリースにあたってのリマスタリングをPlum Hills BasementのHACCHIが手掛けています。
【推薦コメント】
70-80年代ポストパンク・ニューウェイヴ・クラウトロック・ディスコ&ダブの強力なるメガミックスとでも呼ぶべき、磨き抜かれた選曲のもと、切って貼って切って貼っての80'sエレクトロ・エディット感覚を経てセンス漂いバッチリ編集加工された強力ノンストップ・ミックスCD、32分16秒と41分33秒。こんな代物が2012年にリリースされていたとは…。10年の歳月を経て、あらためてSearch of MANYより世に出される問題作。
(COMPUMA)
それはひとつの発明、というよりも魔法である。エディット、サンプリング、ある種のDJカルチャーのカット&ペーストの作法は、その表層に張り付いた時代を消滅せしめ、音楽のそこかしこに宿るむき出しの魅力を取り出して、新たなる地平を切り開く。本作品も、正にそうした魔術のようなサウンドが結実した、魅惑の作品と言えるだろう。
松本伸哉、そして下北沢の〈ZOO/SLITS〉を運営していた山下直樹によるTHE FORTUNES IN FURY、その作品はポストパンク~ニューウェイヴで満載のレコードボックスをひっくり返し、ビートと断片を繋ぎ合わせ、活力に満ちあふれたフランケンシュタインをこの世に音楽として転生させた。ダブル・ディー&スタインスキーとキング・タビーがカルチャー・クラッシュした、ダビーに、ソリッドに、めくるめくフレッシュなビートの応酬。パンク、エレクトロ、ファンク、レゲエ、ダブ、インダストリアル等々が、単なるサンプルやDJミックスとも異なった、ミクスチャーではなく、文字通りハイブリッドな強度を持って矢継ぎ早にグルーヴを繋ぐ。さまざまな景色へと手をとって聴くものを誘っていく。
ある時、ある場所においては共有されていた感覚を伝搬する、ポスト・パンクの躍動を、DJカルチャーが開けた新たな世界へと投げ込み、その革新性を読解した指南書のようでもある。(OTOTOY編集長 河村祐介)